埋火
迷い猫
ある朝、原田は総司の部屋を訪れた。
「どうされましたか。原田さん。こんな朝早くに。」
総司は愛刀である菊一文字を手入れしながら原田に問いかけた。
「今日は俺たちもちょっとな。捕り物に出ることになったんだ。」
原田は十番隊隊長で、いつもは八、九番隊が出ることになっている仕事を今日は十番隊も出るようにと局長から言い渡されたのだ。
近頃、以前に増して町では騒動が多く、この捕り物という仕事もめっきり増えていた。
「もう体はいいのか。」
原田が総司に問うと、総司は笑って
「ええ。」
と返した。
なにやら原田は、その一仕事に向かう前に西本願寺にお参りに向かうので、総司も行かないかという誘いであった。
最近、元気がなかった総司を気使ってか、原田は総司に声をかけたのだ。
総司はそんな原田の気持ちを知っていてからこそ
「はい。お供します。」
と答えた。
屯所を出て、西本願寺へ向かう途中、総司は原田に問いかけた。
「原田さんが、門徒だったとは知らなかった。」
そんな総司に原田は首を振った。
「いや、俺はちょっとな。苦しいときは神頼みっていうだろ?」
と言うと、白い歯を見せた。
西本願寺は屯所からも近く、総司も散歩がてらよく出向くことが多かった。
西本願寺の門にたどり着くと、総司は足を止めた。
「お通さん……」
目の前には一人の女が立っており、静かに頭を下げた。
十七、八くらいのまだ子供が抜けないような笑顔を浮かべており、背丈は小柄であるが、顔立ちも整っている。
よく見ると、その女の隣には、お供の女が一人付いていて、なにやら嬉しそうな笑みを浮かべている。
「沖田様。おひさしゅうございます。池田屋で倒れたと聞きはって、なんや心配で心配で。まったく連絡もないさかい、毎日お会いしとうて。」
「はあ。」
総司は少しだけ笑って顔を赤めると、
「申し訳ありません。」
と頭を下げた。
「どうされましたか。原田さん。こんな朝早くに。」
総司は愛刀である菊一文字を手入れしながら原田に問いかけた。
「今日は俺たちもちょっとな。捕り物に出ることになったんだ。」
原田は十番隊隊長で、いつもは八、九番隊が出ることになっている仕事を今日は十番隊も出るようにと局長から言い渡されたのだ。
近頃、以前に増して町では騒動が多く、この捕り物という仕事もめっきり増えていた。
「もう体はいいのか。」
原田が総司に問うと、総司は笑って
「ええ。」
と返した。
なにやら原田は、その一仕事に向かう前に西本願寺にお参りに向かうので、総司も行かないかという誘いであった。
最近、元気がなかった総司を気使ってか、原田は総司に声をかけたのだ。
総司はそんな原田の気持ちを知っていてからこそ
「はい。お供します。」
と答えた。
屯所を出て、西本願寺へ向かう途中、総司は原田に問いかけた。
「原田さんが、門徒だったとは知らなかった。」
そんな総司に原田は首を振った。
「いや、俺はちょっとな。苦しいときは神頼みっていうだろ?」
と言うと、白い歯を見せた。
西本願寺は屯所からも近く、総司も散歩がてらよく出向くことが多かった。
西本願寺の門にたどり着くと、総司は足を止めた。
「お通さん……」
目の前には一人の女が立っており、静かに頭を下げた。
十七、八くらいのまだ子供が抜けないような笑顔を浮かべており、背丈は小柄であるが、顔立ちも整っている。
よく見ると、その女の隣には、お供の女が一人付いていて、なにやら嬉しそうな笑みを浮かべている。
「沖田様。おひさしゅうございます。池田屋で倒れたと聞きはって、なんや心配で心配で。まったく連絡もないさかい、毎日お会いしとうて。」
「はあ。」
総司は少しだけ笑って顔を赤めると、
「申し訳ありません。」
と頭を下げた。