埋火
だが、市村には何故そんな表情を浮かべたのか、どうしても分からなかった。
「市村様は、総司様をどう思いますか?」
「正直、初めてお会いしたと時は驚きました。この方が、京に血の雨を降らすと言われている勇士かと。いつも笑っておられるし、恥ずかしがりやで…それに私のような者にまで、敬語をお使いになられる。心の優しい方で。」
「そうでしょうね。私も市村様と同じ。京ではあの方の名前は知れ渡っていて、京であの方を知らない人はいなかったでしょう。お会いするまでは、鬼のような方なのでしょう、と想像してましたわ。」
「ですが、私は尊敬しています。沖田先生は近藤先生や土方先生にためなら命を捨てる覚悟でおられる。それに本当にお優しい方です。」
「そうですね。本当にお優しい方です。ですが、あの方は私が、薬を飲むよう何度も言っても聞かないし、私もみなさんを手に負えず、困っていました。」
懐かしいようにそう言って蒼祢は急に顔を変えると市村にこう言った
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