愛してあげるから
第1章
六冠王
「「「きゃあああっ!!」」」
今日も朝から元気な女子たちの声がする。
そして、校門から校舎へ続く道が、サッと開けられる。
彼だ。
すぐにわかる。
彼が来た途端、女子はああやって騒ぐから。
彼になんて微塵も興味ないあたしは、小さく溜息をついた。
「「「おはようございますっ!!」」」
ここは軍隊か何かですか。
そう突っ込みが入りそうなほど、女子の声は揃っている。
人数はとても多く、きっと全校生徒の女子が集まっているのではないだろうか?
少女漫画やドラマなどではあり得そうな光景。
だけどそう言った類のモノとは、明らかに違う点がある。
それは、女子だけではないということだ。
彼に向かって挨拶をするのは、女子だけではない。
男子や、はたまた教師までもが挨拶をするのだ。
彼は王子様だ。
学校と言う名の王国の、1番偉い王子様。
彼が王子様なら、あたしを含む生徒は、国民だろう。
先生たちが……使用人?
面白くなって、心の中で笑った。
1人で笑っていたら、変な人だもの。
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