愛してあげるから








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『…………』




袖を引っ張っても。

出てくる答えは、

いつも、同じだった。




『良い子にしているのよ…』

『……外に出て、良い?』

『駄目よ。
良い子にしていなさい。
外は危険でいっぱいなの』

『お外…行きたい……ッ』

『辛いんでしょ?
なら行かなくて良いわ。
……ばいばい』

バタンッ……………………。




扉の閉まる音が、

嫌いだった。

怖かったから。



でも、夜の方が

怖かった。

暗かった。

寂しかった。

辛かった。

哀しかった。



昼の方が、好き。

怖くないから。

暗くないから。

寂しくないから。

辛くないから。

哀しくないから。



だから眠らない。

1人になりたくないから。

頑張って起きるの。

良い子にしているの。



辛くても。

苦しくても。

耐えないといけないの。

笑顔でいなくちゃいけないの。




だってボクは、

生きていちゃ、

イケナインデショ……?






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