愛してあげるから







「そ、そんなに怒るなよ零…」



杉本くんが苦笑いを返す。




「そうだよ零。
確かに杉本くんは、あたしを閉じ込めようとしたけどさぁ」




何気なく言った。

だけど、零はピクッと小さく反応した。




そして、

ゆっくりとあたしを見た。




その瞳は、

今にも泣いてしまいそうなほど、

哀しい色を宿し、潤んでいた。




どうしたの?

何を思いだしているの?




閉じ込められた?

もしかして零も、閉じ込められたことがあるの?

それがトラウマになっているの?

零の過去に関係しているの?





……ぽたっ………




静かな教室に、1粒の涙がこぼれ落ちる音だけが響いた。









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