愛してあげるから







零が…

泣いて、いる……?





はらり、と花びらが散るように。

静かにあたしを見つめながら涙を流す零。




あたしも、泣きだした。

何かに耐えるように泣く零が、哀しくて。

あたしの涙も、止まらない。





やがて零は、ハッと我に返ったように、目に生気を戻した。

そして、再び杉本くんを睨みつけた。




そして、

杉本くんを殴った。




あたしは倒れこんだ杉本くんに近寄る。

だけど、零に少し押されて、あたしは尻餅をついた。

零は再び、憎しみを宿した瞳で、杉本くんの胸ぐらを掴んだ。




しかし次の瞬間。

零は一瞬、顔をしかめた。

まるで、痛みに耐えるように……。




零は1回大きく息を吐きだすと、杉本くんの襟から手を離し、ぺたんと座りこんだ。

あたしは杉本くんから離れ、零に近寄る。







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