愛してあげるから

1人に










☆☆☆





今、あたしの隣では、零が眠っている。

さっきから繋いだ手を、零は離そうとしない。

あたしだって、離そうと思わない。






あの後、玲愛さんが車で迎えに来てくれた。

杉本くんを家まで送り届け、あたしたちは家に帰ってきた。



あたしを離してから、零は一言も話さなくて。

部屋に戻ったあと、零はそのまま眠りに落ちてしまった。



あたしは零を起こさないよう、髪の毛を乾かしてあげる。

彼氏の髪の毛に触れるって、なかなかの変態行為かと思い、一度はやめようとしたけど。

風邪引かれるのも困るので、乾かすことにした。



あたしの家のドライヤーは、聖くんを起こさないように、うるさくないものを選んでいる。

だからドライヤー特有の「ガーッ!」って言う音はしない。

零が起きる心配もない。




そしてドライヤーが終わり。

あたしは零の掌に、そっと触れた。

白くてあたしよりも細くって。

羨ましいな…なんて思っていたら。

…まさか手を握られるとは。




それからずっと、手は繋いだまま。






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