愛してあげるから
成績も上がり、スポーツも難なくこなせるようになった頃。
俺は気が付いた。
周りには、人がいた。
俺の外見目当てだとわかっていても、手放すことが出来なくなっていた。
誰でも良い。
何が目当てでも良い。
俺の傍に、いてくれれば。
俺は誰とでも体を重ねた。
もっと、愛していると囁けば。
愛していると、返してくれる?
もっとキスすれば、
抱きしめれば、
夜を一緒に過ごせば、
皆が望むような王子様になれば。
人は俺に寄ってくることを理解した。
俺は元々女好きの一誠と一緒に、手あたり次第女に声かけた。
一緒で良い。
無個性で良い。
傍にいてくれれば。
どこにも当てられない寂しさを、
誰にも分ってもらえない哀しさを、
俺は女にぶつけていた。
ミスズ。
お前に、会うまでは……。