愛してあげるから






成績も上がり、スポーツも難なくこなせるようになった頃。

俺は気が付いた。



周りには、人がいた。

俺の外見目当てだとわかっていても、手放すことが出来なくなっていた。

誰でも良い。

何が目当てでも良い。

俺の傍に、いてくれれば。




俺は誰とでも体を重ねた。

もっと、愛していると囁けば。

愛していると、返してくれる?



もっとキスすれば、

抱きしめれば、

夜を一緒に過ごせば、

皆が望むような王子様になれば。




人は俺に寄ってくることを理解した。

俺は元々女好きの一誠と一緒に、手あたり次第女に声かけた。



一緒で良い。

無個性で良い。

傍にいてくれれば。




どこにも当てられない寂しさを、

誰にも分ってもらえない哀しさを、

俺は女にぶつけていた。






ミスズ。

お前に、会うまでは……。








< 123 / 135 >

この作品をシェア

pagetop