愛してあげるから
1人は嫌だった。
夜は嫌いだった。
暗いから。
怖いから。
辛いから。
寂しいから。
哀しいから。
1人母親の帰りを待っていた夜を思い出し、俺はふっと目が覚めた。
光が差し込んだ窓からは、小鳥の鳴き声が聞こえた。
夜は嫌い。
眠れないから。
待たないといけなかったから。
でも、今は大丈夫。
大嫌いだった夜を、ミスズと一緒に過ごしたから。
俺は隣で眠るミスズの髪を、そっと指に絡めた。
ふわふわして、柔らかい、ミスズの髪。
「ミスズ、愛しているよ」
俺は再び、布団に体を埋めた。