愛してあげるから







あれ?

何でだろう?





「……っく」




何であたし、泣いているんだろう?

馬鹿じゃないのだろうか?

辛くないのに、寂しくもないのに。

むしろ幸せなのに。






……あぁ、そうだ。

想像してしまったんだ。

零が、あたしに「別れてくれ」と言いだすのを。



駄目。

嫌だ。

別れたくない。

束縛激しい女でゴメン。

だけど、手放したくないの。




零を1人にさせたくない。

寂しい思いはさせない。

辛い思いもさせない。




あたしが好きになったのは、切なげな零の笑顔だけど。

見たいとは願わない。

むしろ、見たくないと願う。







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