愛してあげるから
暫く條崎と杉本くんの言いあいが続き、結局條崎が折れた。
そして盛大に溜息をつきながら前へ来る條崎。
…来るなら最初から来いよ。
「んじゃまず、席に座れ。
まぁ、早く帰りたくねーのなら、良いけど」
本物の王子様みたいな言い方だ。
…いや、王子様っていうより、俺様?
上から目線じゃない?
それなのに、女子も男子も席へ座る。
クラスメイトから信頼されているんだ…。
「ミスズは書記」
「え?」
「黒板でもあいている紙でも何でもいいから、書いていって」
「は、はい……」
あたしはチョークを手に取った。
「星空観賞のことだけど。
まー夜だよなぁ」
独り言のように呟いた條崎は、ふと考えるような表情になった。
「天文台の近くには何もないけど、大通りに出ればカラオケとかあるし。
早く来て友達同士カラオケって言うのもアリだよな?」
カラオケと言う単語に騒ぎ始めるクラスメイト達。
カラオケなんて行ったことないあたしは、何で騒ぐのかわからないけど。