愛してあげるから







そして、人混みの真ん中で、あたしを抱き寄せた。

さっきまでの静けさが嘘のように、「きゃあああ!」と女子の悲鳴が響いた。

1番「きゃあああ!」と言いたいのは、あたしなんだけど。





「コイツ、俺の女だから。
手ぇ出したら、ぜってー許さねぇ」




よく通る声を持つ零は、静かな雰囲気の中に、よく響いた。




「ぜ……零も!」




あたしはよく通る声なんて持っていないから。

出来る限り、思い切り叫んだ。





「零も、あたしのだから!
あたしから奪ったら、絶対に許さない!!」




恥ずかしいけど。

頭のてっぺんから湯気が出るんじゃないかってくらい、恥ずかしいけど。




「~~~!!」




その後思い切り、零の頬に背伸びして、キスをした。

あたしからの、初めてのキス。

男子女子教師合わせて、「わあああっ!」と歓声が沸いた。






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