愛してあげるから
天文台
時間が過ぎるのは早くって。
今日は星空観賞の日。
星空大好きなあたしは、朝からウキウキ。
制服で行くので、洋服を考える心配もない。
地味なあたしの私服はやはり地味で。
他人になんて見せたくないから。
良かったーと心から思う。
家から天文台までは、歩きで行ける距離。
前に住んでいた家も近くにプラネタリウムがあったけど、こっちの方が近い。
何度も行こうとしたけど、実際に行くのは初めて。
あたしはルンルン気分で階段を下りた。
ただし下りてから、あたしの気分も一緒に下がった。
「あ、おはよう美静ちゃん」
「…おはようございます」
玲愛(れあ)さんに俯きながら挨拶をし、椅子に座る。
テーブルの上には、豪華すぎる朝食が並べられていた。
クロワッサン・スクランブルエッグ・搾りたてのオレンジジュース・ヨーグルト。
豪華なお皿に乗せられた朝食たちは、まるでどこかのホテルの朝食だ。
「いただきます」
あたしは小さく言い、ジュースを飲んだ。