愛してあげるから
星空を見るために用意された座席は、天文台の近くにある野外ステージの椅子。
そこから離れると、2人がけのベンチがあるのだ。
だからあたしは、そこに座る。
頭上には、綺麗な星空が広がっていた。
星座とか調べてくればよかった、と後悔した。
でも、良いの。
静かな場所で見られるんだから。
騒ぎの聞こえない、静かな場所。
あたしはそこで首を思い切り曲げ、星空を見た。
「ミスズじゃん」
ひょこっと現れたのは。
「……條崎」
「どーも」
ニコッと笑いながらあたしの隣に座る條崎。
「何で隣来るんですか」
「ミスズの隣に並びたいから?」
離れようとしたけど、他に座って見られるところはない。
あたしは我慢して、條崎の隣に並んだ。