愛してあげるから
どんな表情で言っているのかと思い、振り向こうとしたけど。
あたしを抱きしめる腕の力が強いから、振り向けない。
あたしは抵抗を止め、大人しくした。
「星、好きなんだよ…俺」
「そうなの……?」
「…だけど、そんなこと言えねーだろ。
だから、女たちから逃げてきた。
そこで、ミスズに会った」
囁くように條崎は呟く。
…まるで子猫が鳴くように、その声は小さかった。
「ミスズも好きなんだろ…星」
「……うん」
「なら、一緒に見よーぜ」
あたしは小さく頷いた。
「…星見るだけなら、あたしを抱きしめなくても良くない?」
「ミスズは俺の彼女だから。
抱きしめんのは、当然じゃない?」
……何でだろう。
何であたし、條崎を子猫みたいだと思ったんだろう。
あたしはバッと振り向いた。
力が弱まっていて良かった。
そこであたしは、見たんだ。
條崎が、
ニヤリと、黒い笑みを浮かべていたことを……。
コイツ…
あたしを騙しやがったな!?