愛してあげるから
「條崎ィ!」
「…何だよミスズ」
「星好きとか嘘でしょ!?」
「馬鹿、嘘じゃねーよ」
強引に肩を掴まれ、前を向かされる。
そして、抱きしめる力が加わる。
後ろを向けなくなってしまった。
「離してよ!
ちょっとでも―――ッ」
「ちょっとでも、何?」
「…何でもないわよっ!」
ちょっとでも、
―――良いと思ったあたしが馬鹿だった。
そんなことは、絶対に言わない。
條崎のことだから、絶対調子に乗る。
あたしは、條崎の罠にははまらない。
はまったら、絶対抜け出せないから。
好きにもならないし、仲良くもならない。
他の女子と同じの、オモチャにあたしはならない。
あたしは星空を眺めた。
後ろにいるアンタの顔は見えないけど。
どうせまた、黒い笑みでも浮かべているんでしょーね。
でも、何でだろう。
あったかいと思うのは。
心臓が心地よい音をたてるのは。
きっと、抱きしめられてあったかくなっているんだ。
きっと……うん、そうだ。