愛してあげるから
第2章
屋上で
☆美静side☆
あたしは朝から、首元を何度も触っていた。
昨日、條崎があたしを抱きしめたぬくもりが、消えない気がして。
別れた後も、あたしのドキドキは消えなくて。
初めての感情に、あたしは動揺を隠せないでいた。
「條崎ー。
條崎はまた遅刻かー?」
出欠席表を見ながら先生が言う。
テキトーそうに聞こえるのは、きっと條崎が頭良いから。
きっと、いてもいなくても良いんだ。
成績さえ下げなければ。
これがきっと最下位スレスレの成績だったのなら、先生は容赦しない。
……良いのかな、こんな学校で。
「逢坂」
「何ですか」
朝のホームルーム終了後、担任があたしの席に来た。
「クラス委員に頼み事があるんだ。
これ、まとめておいてくれないか?」
渡されたのは、白い紙の束。
かなり量がある。
「んじゃ、よろしくなー」
担任はそのまま、あたしの返事も聞かずに教室を出て行った。