愛してあげるから
條崎は自分の腕を頭の後ろで組み、それを枕にして寝転がっていた。
サラサラとチョコレート色の髪が、風に靡いた。
凄く、綺麗だった。
失礼かもしれないけど。
素直にあたしはそう思ったんだ。
「ミスズ、サボり?」
「……違います」
「じゃあ何で?
今は授業中だよね」
サボリだよ、うん、間違いない。
でも何で、素直に言えないのだろうか?
「どうしたの?」
「…担任から、この束をまとめるように頼まれたの」
スッ……と條崎の瞼が開く。
初めて見たけど、條崎の瞳って、凄く綺麗。
二重の茶色い瞳は少しだけ哀しそうに潤んでいて、凄く色っぽい。
「…凄い量だね」
眠そうな瞳をあたしに向け、ふっと微笑んだ。
本当、條崎の笑顔は、卑怯だと思う。
人をこんなにも、惑わすんだから……。