愛してあげるから








むくっと起き上がった條崎は、紙の束を半分掴んだ。




「半分はミスズがやってね」

「勿論ですよ」





持ってきたホッチキスで、まとめていくあたしたち。

…小鳥の鳴き声だけが、静かに響いていた。









條崎が寝転がっていた所には、鞄が置かれていた。




「そういえば、朝いませんでしたけど。
いつ来たんですか」

「さっきだよ」

「何で教室に寄らなかったんですか」

「…めんどくさかったから」

「鞄も置きっぱなしですね」

「そりゃあ真っ直ぐ屋上に来たんだから。
教室に鞄だけ行くわけねーじゃん」



ははっ、と笑う條崎。

何が面白いんだか。




「屋上って立ち入り禁止だと思っていました。
開いていたんですね」



普通って屋上立ち入り禁止じゃない?

あたしが前にいた学校はそうだったし。







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