愛してあげるから





最悪なことに、あたしはアノ六冠王・條崎零と同じクラスだ。

休み時間になると、女子は全員條崎の元へ向かって話す。

うるさくて、寝られる雰囲気じゃない。




しかも、條崎は最悪なことに、窓際の1番後ろから2番目。

その後ろ、つまり1番後ろがあたしなのだ。

だから、女子の視線も痛いし…。

本当先生、何であたしをこの席にしたんだろ?

たまたま空いていたから?

窓際が良いだろうと思ったから?

…どっちにしても最悪だ。





話の内容も内容だし。

寝た、とか何よ!

そんなこと、あたしの後ろで話すなよ!

…まぁしょうがないか、六冠王だもんね。





さっきは話さなかった六冠王の残り3冠。



4冠目は、来るもの拒まず。

先ほどミキさんって人は断られていたけど、家においでと言われたらのこのこ行ってしまうのが條崎。

條崎と寝たい、と願う女子の願いを、全部聞いているのだ。

……マジで最悪。




5冠目は、去るもの追わず。

條崎が好きだった子に彼氏が出来て、條崎に興味がなくなったとしても、條崎はその子を気にしない。

だって條崎にとって、女子は溢れんばかりにいるんだから。




6冠目は、来ないもの誘わず。

あたしのような條崎に興味のない女子を、條崎は誘うことはない。

條崎が構うのは、あくまで自分から寄ってきた女子ばかり。




六冠王…最初の3冠は良いけど。

残りは最悪。

きっと條崎のような男のことを、プレイボーイと呼ぶのだろう。



條崎は、プレイボーイだけど優秀な王子様なのだ。

最高なのか最悪なのか。

あたしにとっては、最悪以外の何物でもないけどね。









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