愛してあげるから
気が付いた時には、時すでに遅し。
「きゃっ……!」
あたしは正面から、條崎に抱きしめられていた。
目の前にあるのは、條崎のつける制服のネクタイ。
ちなみに、女子はリボン。
赤いリボンで、かなり可愛いんだよね。
紺色のブレザータイプだし。
何であたし、今更制服の説明なんてしているの!?
抱きしめられて、可笑しくなったの!?
馬鹿なの?
ねぇ、馬鹿でしょ!?ねぇねぇねぇ!!
「……ミスズ。
面白いけど、1人で百面相していたら変な人だよ?」
クスッと頭上から声がする。
…恥ずかしい!
條崎に笑われるなんてっ……。
逢坂美静、一生の不覚だっ……!!
「まぁ、そんなミスズも可愛いけど、ね?」
條崎のあたしを抱きしめる力が、強くなる。
あたしの心臓のドキドキが、止まらない。
何なの?
何であたし、こんな奴にドキドキしているの?
わからない。
あたし、自分がわからないよっ……!!