愛してあげるから
「待ったか?」
「ううん、待っていないよ」
「………」
條崎はあたしの姿を、上から下まで眺めた。
「條崎……?」
「ミスズ、デートとか初めてだろ」
「え?」
何でわかるの?
「その格好、どうかと思う」
変かなぁ?
あたしは下を見た。
いつもの三つ編みに瓶底眼鏡。
白い丸襟が目立つ、深緑色の上半身。
茶色と赤の混じった、膝下スカート。
それに皮のバッグ。
「まずは…そうだな、来い!」
「えっ!?」
あたしは條崎に引っ張られながら、走り出した。