愛してあげるから
眼鏡を外され、三つ編みも外された。
よくわからない感覚にドキドキしながらも、あたしは全てを店員さんに任せた。
「…………!?」
「どうですか彼氏様」
数十分後。
あたしは條崎の前に立っていた。
條崎は驚いたように目を見開きながら、あたしを見ていた。
あたしはさっきの紫色のワンピースに身を包み、眼鏡を外していた。
髪は下の方だけ器用に巻かれ、上の方はアップにしてもらった。
いつもは首の後ろに髪の毛はないから、今日は新鮮。
そして手に持つ鞄も、白い高級そうなもの。
胸元には赤いハートの揺れるネックレス。
條崎はゆっくりと立ちあがり、あたしを鏡の方へ連れてきた。
そして、あたしの右肩にそっと手を置いた。
「條崎……?」
「めっちゃ似合っているよ、ミスズ」
その声は、どことなく楽しそうだ。
あたしはその声を聞いて、思わずキュンッとした。
何であたし、キュンッなんてしているんだろう?
これじゃあたし―――…。