愛してあげるから
「気易く彼女に触れないでもらえます?」
殺気をバンバン出しながら淡々と話す條崎。
いつものヘラヘラしている條崎とは、雰囲気が全く違う。
…社長さんと、知り合いなのかしら……?
「あら、来ていたの?」
まるでさっきからあたしの隣にいた條崎に気が付かなかったような口振りだ。
「珍しいわね、あなたからこのお店に来るなんて」
「ただ単に近いって理由だけど」
「あら、そう。
なら早く出て行ってもらえるかしら?」
フンッと鼻で笑うのを忘れずに、社長さんは奥へ行ってしまった。
その後姿を睨み続けていた條崎だけど、店員さんの声でいつもの眠そうな瞳に戻った。
「もしかして、條崎零様ですか?」
「え?……そうですけど」
「やっぱり!
社長と面と向かって話せるのは、零様だけですもんね!」
「…………」
條崎は何も答えずに苦笑いを返していた。
それでさえもかっこいいと思うなんて。
あたし、本当どうしたのだろうか?