愛してあげるから
“あの時”に戻りたくない。
そんな思いから、六冠王は出来上がった。
ただ、自分を守るためだと。
鎖でも鎧でもあったから、六冠王は。
例え抜け出せなくなったとしても。
俺は最低のままでいようと思っていた。
ミスズに出会うまでは。
ミスズは、他の女と変わっていて。
他の女とは違い、何もかも純粋すぎて。
俺が、壊されるような気がしてならなかった。
だから離れようと思ったのに。
“あの時”に戻らないようにしたのに。
無理だ。
俺はもう、ミスズが…欲しい。
「ミスズ。
……俺の彼女にならねーか?」
「え?」
「前にも言った。
だけど、あれは嘘だったんだ」
そう、嘘。
俺が俺を守るための、嘘。