愛してあげるから
「でも、今の美静ちゃんは幸せそうだわ。
和幸(かずゆき)さんが見たら、どう思うかしらね?」
和幸、というのはあたしのお父さんだ。
今は逢坂家の当主として、海外出張している。
「美静ちゃん、零くんのことが好きなのね」
「……!!」
思わず頬を押さえる。
熱い……。
まるで人前に立ったよう。
「……ただ」
今までにこやかに話していた玲愛さんが、視線を落とした。
「條崎…それが零くんの名字よね?」
「そうですけど?」
「……前に、ジョウの社長さんに会ったんだけどね。
ジョウの社長さん、名字が條崎なのよ。
偶然、かしらね?」
ジョウ。
今日零と行った、洋服屋さんだ。
「偶然じゃないです。
あそこの社長さん、零のお母さんです」
まぁ、仲は良くないみたいだけど……。