愛してあげるから
あたしはぬくもりに酔いながら、ふと玲愛さんの話を思いだす。
零は、一体何者なのだろうか?
零は一体、誰の子どもなの?
ジョウで見たあの社長さんの息子じゃないの?
社長さんの妹が起こした事件に関わっているの?
何で家に帰りたくないの?
何で杉本くんの家で晩ご飯を食べているの?
「零」
「ん?」
あたしは零の顔を見た。
瞳にあの、哀しさは浮かんでいない。
「零は、何を抱えているの?」
「…………」
「あたしで良ければ、話はいくらでも聞くよ」
「…………」
「零のこと、好きだから…。
零のこと、もっといっぱい知りたいよ。
クラスの女子よりも、零の傍にいたい」
「……ミスズ?」
「あたしは美人じゃないし、可愛くもない。
クラスの女子に負けることばかりだし、完璧な零に釣り合わないかもしれない。
だけど、1つだけ勝てることがあるの……」
恥ずかしいけど、言わないと。
自分の気持ち、しっかり伝えないと。
「誰よりも、零のことが好き……」