愛してあげるから
「逢坂、だっけ?」
條崎が欠伸をしながら聞いてくる。
そのやる気のなさに、少なからず怒りを覚えた。
「そうですけど」
少し棘のある言い方になったけど、気にしない。
てかあたし、皆の前で自己紹介したし。
コイツ聞いてなかったわけ?
……てかそもそも、コイツいた?
「俺のことは知っているよね」
自意識過剰発言、本当にムカつく。
かっこいいからって、モテるからって、調子乗ってるでしょ?
「條崎零。通称、六冠王」
「なるほど。
で、逢坂は下の名前、何?」
「……自分で調べれば良いじゃないですか」
あたしは目線だけで、教卓の上にある座席表を示した。
まぁ、読めるもんなら読んでみろって感じだけどね。
「……ミスズ、意地悪だなぁ」
「なっ……!?」
クスクス笑う條崎を見て、あたしは目を見開いた。