愛してあげるから
「零くん。
美静ちゃんから聞いたわ。
今日からお付き合い始めたんですって?」
ミスズ、結構話すんだな…。
「ええ」
「零くんは、美静ちゃんのどこが好きなの?」
どこ、か…。
「……一匹狼みたいな所、ですかね?」
「あら、珍しい。
男の子って女の子のそういう所も好きになるのね」
「あ、他は知りませんよ?
でも俺は、そこが好きですね……」
孤独な一匹狼って感じなのに。
中身は脆くて、支えてあげねーと倒れるようなか弱い奴で。
守ってあげたい、と思ったんだ。
「美静ちゃんから聞いていると思うけど。
あたし、美静ちゃんの本当のお母さんじゃないの」
紅茶を飲みながら、玲愛さんは話し出す。
「美静ちゃんと思うように話せなくて。
美静ちゃんも本当のお母さんの方が好きでしょうし。
深く関わろうと何度も思ったけど、話す機会がなかったの。
そのせいなのかわからないけど、美静ちゃんはあんまり笑わなくなってしまった。
だけど、零くんと付き合うようになってから、笑うようになったわね。
本当にありがとう、零くん」