愛してあげるから
「お、俺は何もしていませんよ。
逆に俺の方こそ、ミスズに感謝しています」
俺も一口紅茶を飲む。
優しい味わいだった。
「……俺、女なんて全部一緒だと思っていました。
だから誰にもテキトーに接していました。
……最低ですよね、俺………」
玲愛さんは首を左右に振った。
「最低じゃないわ。
きっと零くんをそうしてしまった“何か”があるんだわ。
その“何か”がなくちゃ、女性が全部一緒だなんて思わないわ」
玲愛さん…目ざとい。
「零くんに何があったのか、わたしは知らないし、聞かないわ。
だけど、1人で貯め込んではいけないわ。
だからいつか…美静ちゃんに話してみてはどうかしら?」
「ミスズに……?」
「ええ。
美静ちゃんは、零くんのお蔭で変われたと、わたしは思うの。
だからきっと、零くんも美静ちゃんで変われるはずだわ」
「…………」
「焦らなくて良いのよ。
ただ、話してみる価値はあると思うわ。
零くんが……“本気で”美静ちゃんのことが好きなら、ね?」
本気で。
玲愛さんの言葉が、静かに俺に響いていた。