愛してあげるから
『逢坂。
零の過去、聞きたくねーか?』
え…?
『零の過去だよ。
零から聞くには、かなりの時間が必要だ。
ただ、今すぐ学校に来れば、俺が零の過去教えてやるよ』
杉本くんの声が、悪魔の声に聞こえた。
「……零の、過去………?」
『ああ。
零のこと、逢坂が支えてやれよ。
ミキたちに過去を言ったら零は怒るかもしれねーけど、彼女である逢坂なら教えても良いって零からも了承得ているからよ』
「…………」
『聞きたくね?
零とジョウの社長の関係とかも。
―――零が関わった事件についても、な』
「……良いの?聞いても」
『ああ。
てかさっき零から電話もらって、逢坂に言っておいてくれねーかって頼まれたんだ。
零、ああ見えて恥ずかしがり屋だから、自分から言えねーってな』
零が、杉本くんに……?
なら、大丈夫かな………?
「あら美静ちゃん、どこに行くの?」
「学校です。
忘れ物をしちゃったので、取りに行ってきます。
零には、何かテキトーに言っておいてください!」
あたしは薄い春用パーカーを着て、家を飛び出した。