愛してあげるから
☆☆☆
「逢坂」
「杉本くん、お待たせ!」
杉本くんもあたしも、2月の夜に出歩くには向かない服を着ていた。
「ここじゃ話せねー。
教室、入るぞ」
「うん」
あたしは杉本くんについて行き、教室の中へ入る。
「てか警備員さんとかいないの?」
「いるはいるけど、警備は薄いんだ」
「なるほど……」
杉本くんは両方の扉を閉め、教卓の上に座った。
あたしもテキトーに前の方に座った。
「さて、逢坂」
話し出そうとした杉本くんだけど。
警備員さんが持つ懐中電灯の灯が見え、急いで教卓の下に隠れた。
あたしも机の下にもぐった。
警備員さんの足音が遠ざかり、杉本くんは改めて切り出した。
「電気はつけねーぞ。
誰かにばれたら困るからな」
「うん、良いよ」
「さて、零の過去を話すか」
「うん……」
「……の前に、俺トイレ行ってきて良いか?」
あたしは笑って、頷いた。