新婚の定義──嘘つきな君と僕──
「まぁいいや。レナは相変わらずだな。」

「それって成長してないってこと?」

「いや、いい意味で変わらないってことだ。」

「意味わかんない…。」

相川はおかしそうに笑うと、二人分のジントニックのお代わりをオーダーした。

「わかんないか…。そういうところも相変わらずだな。」

レナは相川の言葉の意味がよくわからなくて、何度も首を傾げた。

(まぁいいか…。誰かと飲むお酒はおいしいもんね…。一人よりずっといい…。)



久し振りに誰かと飲むお酒がおいしくて、レナはつい、早いペースで飲みすぎてしまった。

(ちょっと…ふわふわする…。)

「レナ、大丈夫か?ちょっと飲み過ぎじゃないか?」

「ううん…大丈夫…。ちょっとふわふわするだけ…。」

レナはトロンとした目で、小さく笑う。

「ほらみろ、酔ってんじゃねぇか。送るから、そろそろ帰ろう。」

「うふふ…楽しいね…一人じゃないって…。」

「レナ、無防備過ぎだろ。人妻がそんなんでいいのか、旦那に叱られるぞ?」

「叱ったりしないよ…。そんなこと、ユウにできるわけないの…。」

レナはカウンターに肘を置いて、頭を乗せて目を閉じる。

「そんなに無防備だと、襲っちまうけど。オレんち、連れて帰るぞ。」

「それはダメです…。私、他の人とは考えられないから。」

相川がレナの頭をくしゃっと撫でた。

「じゃあ、オレの気が変わらないうちに、旦那のところに帰りな。」

「そうだね……私の帰る場所は…そこしかないんだもんね…。」

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