新婚の定義──嘘つきな君と僕──
バーで酔いざましに水を飲んで、少し酔いが落ち着いたレナをタクシーに乗せると、相川は一緒に乗車して、マンションまで送った。

「一人で大丈夫だったのに…。」

「いや、なんかあったら困るだろ。」

「ごめんね。」

「謝ることない。誘ったのはこっちだしな。」

「でも、楽しかったよ。」

「そうか?ヤケ酒くらいはいつでも付き合ってやるって言いたいんだけどな…。酔ってあんまり無防備な顔されると、身の安全を保証できないから。それでもいいなら付き合うけど。」

レナは相川のストレートな言葉に、思わず笑ってしまう。

「じゃあ、やめとく。私、酔った勢いで一生後悔したくはないから。」

「おう、そうしとけ。」

マンションに着くと、レナは一人でタクシーを降りた。

「今日はありがとう。」

「いや、あんま無理すんな。」

「…うん。」

「じゃあ、また仕事でな。」

タクシーが遠ざかると、レナは住み慣れた部屋へ向かう。

(結局…帰る場所はひとつしかない…。)


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