新婚の定義──嘘つきな君と僕──
「やましいことがあるから、隠そうとするんだよな。ユウは、これ以上レナに知られたくないんだろ。レナのことが、好きで好きでしょうがないんだから…。言えないようなことをしてきたアイツのせいと言えばそれまでだけどな…それでもアイツはレナを失いたくないんだ。」

「そうでしょうか…。」

「そうじゃなければ、もっとうまく嘘をついてるだろ。好きだから隠したい。でも、嘘がつけない。そういうヤツなんだ、アイツは。」

ヒロはレナの頭を優しく撫でた。

「嘘に嘘を重ねても、傷付くのはレナだ。もうこれ以上、つまらない嘘はつくなよ。」

「ハイ…。」

その時、スタジオの重いドアが開き、タクミがやって来た。

「あーっ、オヤジがあーちゃん泣かせた!!」

「オレじゃねぇよ!!」

「じゃあ、やっぱり旦那の仕業ですか!!」

「しかいねぇだろ?」

「しょうがない旦那だな…。あーちゃん、そろそろ本気でオレのお嫁さんにならない?」

「いや…それは…。」

「オレはいつでも、あーちゃんを幸せにする覚悟はできてるよ?」

タクミがレナの顔を覗き込む。

「でも、私は…ユウが好きだから…。」

レナが小さな声で呟くと、タクミはため息をついた。
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