新婚の定義──嘘つきな君と僕──
「なんでそんなにユウがいいかなぁ…。あーちゃんを幸せにしたい男なんて、まわりにいっぱいいるよ?」

「え?」

「気付いてないんだもんなぁ…。罪だなぁ。」

「え?え?」

「まぁいいや。オレはあーちゃんが幸せならそれが一番だから。まずは、優柔不断な旦那の目を覚まさせないと。ね、オヤジ。」

タクミがニヤリと笑う。

「そうだな…。強気なロンドン娘にも、ちょいとお灸を据えてやらんとな。」

ヒロも、ただならぬ気迫で笑顔を浮かべる。

(敵に回すと怖いコンビだな…。)

「かわいい娘を泣かせたら、ダディが黙ってないってところを見せてやろう。」

ヒロがレナの頭をポンポンと優しく叩く。

「ふふ…。優しいダディとお兄ちゃんがいてくれて良かった。」

「ちょっとは元気出たか?」

「ハイ。」

レナが微笑むと、ヒロとタクミも優しく微笑んだ。

「しかしあれだな…。このままタネ明かししちまうのもシャクだな。」

「え?」

「レナが、あれは嘘だったんだって言えば、この話はそれまでだけどな。それじゃあ、なんでレナがそんな嘘なんかつく必要があったのか、わかんねぇだろ?レナはユウに、同じ痛みを知ってもらいたかったんだよな?」

「まぁ…。」

「そんじゃあ、しばらくその嘘、つき通してみねぇか?」

「えっ…。」
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