新婚の定義──嘘つきな君と僕──
「あら、ユウくんとアリシアちゃん違う?」

「ホンマやわぁ。本物はテレビよりオトコマエとべっぴんさんやねぇ。」

「お二人結婚したんやって?おめでとう。」

「ハ、ハイ、ありがとうございます…。」

近くに座って足湯に足を浸していた関西弁のオバチャンたちに突然話し掛けられ、オバチャンパワーに圧倒されながらも、ユウとレナは、見ず知らずの人たちまでもが、自分たちの結婚を祝福してくれることを嬉しく思った。

「こんなオトコマエの旦那さんやと、奥さんは心配やね。」

「ふふ…。大丈夫ですよ。」

「むしろ旦那さんの方が心配してはるんちゃう?こんなキレイなお嫁さんやもんね。」

「そうですね…。でも、大丈夫です。」

「お嫁さんがキレイやって言うとこだけは認めはるんや!!ホンマ仲がエエんやねぇ。」

「はは…。」

(関西のオバチャン、噂で聞くよりつえぇ!!)

「こんなとこでこんな有名人に会えるとは思うてなかったから、ホンマ嬉しいわぁ。オバチャン、これからずっと応援してるで。」

「ありがとうございます。」

「うちの娘、アリシアちゃんのファンでね、アリシアちゃんのお母さんとこの服、今度娘と買いに行く約束してるんよ。」

「ありがとうございます。母も喜びます。」

「ほな行こか。邪魔してごめんねぇ。」

「お幸せにねぇ。」

「ユウくん、浮気はあかんでぇ!」

「し、しませんよ!!」

「アリシアちゃん、うんと大事にしてもらうんやで!!」

「ハイ。そうします。」

「エエなぁ、新婚さんは。かわいいわぁ。」

オバチャンたちは二人に手を振ると、賑やかに去って行った。
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