新婚の定義──嘘つきな君と僕──
翌朝、ユウはレナと朝食を取りながらレナに尋ねた。

「結局レナの嘘は、どこからが嘘だったの?」

レナはコーヒーのおかわりをカップに注ぎながら静かに答える。

「相川くんと、大学時代のバイト先が一緒だったのはホント。でも、それだけ。」

「…水野は?」

「ユウがロンドンに行く前に告白されたのはホント。でも付き合ってない。ただの後輩。」

「そっか…。」

ユウはホッとしたように、コーヒーを飲む。

「ユウは…。」

言いかけて、レナは口をつぐんだ。

「やっぱりいい。」

「なんで?」

「聞きたくないもん。」

「そうだよな…。」

「だけど…ロンドンから帰って、私を選んでくれたのは、勘違いなんかじゃないでしょ?」

「当たり前。ずっと好きだったのはホント。」

「…なら、それでいい。私も一緒だから。」

そう言って、レナは穏やかに微笑んだ。



朝食を終えると、ユウはレナが用意した着替えの入った鞄を持ち、玄関で靴を履く。

「いってきます。」

「いってらっしゃい。」

軽くキスを交わし、ユウはレナを抱きしめた。

「ホントは離したくないんだけどな…。」

「ふふ…。ユウったら…。」

ユウはもう一度レナにキスをすると、レナの頭を優しく撫でた。

「レナの笑顔見られたから、頑張れそう。」

「うん、頑張ってね。」

笑顔のレナに見送られ、ユウは笑顔を浮かべて玄関を出た。

(ユウが笑ってくれると、私も嬉しいな。)

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