新婚の定義──嘘つきな君と僕──
それは、大好きな人への想いを、半ば強引なほどストレートに歌ったものだった。

ケイトがメインで、タクミは控えめにハモリのパートを歌う。

レナは、タイトルが1度も歌詞に出て来なかったことを不思議に思ったけれど、少し考えるとその意味はすぐに理解できた。

(これ…『I miss you』って、ユウが恋しいって意味だ…。ケイトの、ユウへの想いを歌った曲なんだ…。)

ケイトの、ユウへの想い。

強気に好きだと言っているのに、それは愛する人の心には届かなくて、振り向いてもらおうと呼び掛ける姿も、必死で強がっているようで、どこか悲しい。

レナにとっては恋敵になるのかも知れないが、ケイトなりにユウを本気で好きなんだと思うと、ケイトの想いに、レナの胸が痛む。

(切ないな…。)

レナは、ステージの上のケイトの姿をファインダーで捉えると、少し切ない気持ちでシャッターを切った。

(でも、私も…ユウだけは、譲れないの…。)

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