新婚の定義──嘘つきな君と僕──
ケイトがステージを去った後、いつものように`ALISON´の5人でラストの曲の演奏を終えた。

観客席からはアンコールの声が響き、ファンは`ALISON´がステージに戻って来るのを声を上げて待っている。

ほどなくして5人がステージに戻って来ると、更に大きな歓声が響いた。

タクミがマイクを手に会場をぐるりと見渡す。

「みんな、今日はありがとう。ライブツアー初日、幸先のいいスタートになったよ。」

愛敬たっぷりのタクミの笑顔に、女性ファンは黄色い声を上げる。

(さすがタクミくん…。)

「それではここで、みんなに紹介したい人がいまーす。」

タクミはステージのそばでカメラを構えているレナに視線を留めると、ステージから飛び降りて、レナの腕を掴んだ。

「えっ?!」

レナは突然のことに慌てふためいている。

「おいで、あーちゃん。」

タクミがやや強引にレナの腕を引いてステージに上がると、ユウは何事かとオロオロした。

「紹介します。オレのかわいい奥さんです。」

タクミがレナの肩を抱いてそう言うと、ユウが慌てて、その手からレナを奪い返した。

「オマエのじゃないだろ!!オレの大事な嫁だ!!オマエには絶対やらん!!」

思わず大声を上げてから、ユウは我に返って真っ赤になった。

会場からはキャーッと大きな声が上がる。
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