新婚の定義──嘘つきな君と僕──
レナが`ALISON´の楽屋を訪れると、楽屋ではメンバーと相川が談笑していた。

「相川くんって片桐さんと大学時代のバイト先が同じだったってホント?」

「そうなんですよ。」

リュウは興味津々な様子で相川と話している。

「片桐さんってどんな子だった?やっぱり昔から美人だったの?」

(えっ、私の話?!)

「そうですねぇ…。美人だったけど今ほど色気もないし、愛想よくもなかったかな。無口であんまり笑わないし、怒らないし、驚かないし、変わった子でしたねぇ。ただ、陰口とか見え見えのお世辞とかも言わないし、媚びないし、無駄口叩かず真面目なんで、仕事は人一倍できましたよ。」

楽屋の入口のそばにいる相川の後ろでその話を聞いていたレナが、相川に向かって低く呟く。

「色気ないは、一言余計でしょ…。」

さっきまでいなかったはずのレナの呟きに、相川は驚きメンバーたちは笑ったが、ユウだけは顎に手を当て、何か考えている。

「ユウ、どうかした?」

レナがそばに言って尋ねると、ユウはタバコを吸いながら、相川の方をチラリと見た。

「いや…。レナのこと、ものすごくよく見てるなって思ってた。」

「…色気ないとか?」

「そこじゃないよ。それに、その時から色気あったらオレが困る。」

「えっ?」

「レナ、モテるから。」

「何それ…。」

レナは照れ臭そうに呟いた。

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