新婚の定義──嘘つきな君と僕──
二人で仲良くホットケーキの生地を作り、フライパンに流し入れて、焼き上がるのを待つ。

「いい匂いしてきたね。」

「早く焼けないかなー。」

ユウがホットケーキをひっくり返すのを、レナは子供のようにワクワクした顔で見ている。

「あっ、キレイな焼き色!」

嬉しそうに笑うレナを、たまらなくかわいいとユウは思う。

「学生時代、思い出すな。」

「うん。休みの日のお昼に、よく作ったね。」

「大人になってもレナとこうして一緒にいられるなんてな。」

「思ってなかった?」

レナはユウを見上げて尋ねる。

「ずっと一緒にいたいって思ってた。だから、好きだってレナに言えなかった。」

「私も、ユウとずっと一緒にいたいって思ってたけど…。」

「けど?」

「あの時と今とでは、ユウを思う気持ちが違うのかなって。あの時もユウのこと大好きだったけど…今みたいにドキドキしたりとかしなかったし、それに…。」

「それに?」

「…なんでもない。」

「教えてよ。」

「恥ずかしいもん。」

「えー…余計に聞きたい。」

ユウはキレイに焼き上がったホットケーキをお皿に乗せて、もう一度フライパンに油を敷き、生地を流し込んだ。
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