新婚の定義──嘘つきな君と僕──
「教えてくれないと、食べさせてあげない。」

「ユウひどい…。意地悪…。」

レナが頬を膨らませると、ユウが笑いながらレナの頬をつつく。

「レナかわいい。子供みたい。」

「子供じゃないもん。」

「知ってる。子供にこんなことしないから。」

ユウはレナの腰を抱き寄せてキスをした。

「ユウのそういうところ…。」

「ん?」

「昔はユウがこんなに甘いなんて全然知らなかったけど、ユウのそういうところも、私だけが知ってるんだもんね。」

「そうだよ。まぁ、昔からオレはレナにだけは甘かったらしいけど。」

「今は激甘だね。どんどん甘くなってる気がするんだけど。」

「一緒にいるとどんどんレナが好きになるから余計に甘くなるのかなぁ。昔はオレの片想いだったけど…幼なじみから恋人になって、夫婦になって…今は一緒にいられるし、レナが好きだって思いきり言えるし、抱きしめたりキスしたり…レナを想って、レナを抱いてる。それが嬉しい。」

「…私も。」

「ん?」

「昔から知ってるユウも、私しか知らないユウも、ユウの全部が好き。ユウも私も昔と違って…今はユウにそうしてもらえることが…嬉しいの。」

恥ずかしそうに呟いたレナの言葉を聞くと、ユウはクルリとフライパンの方を向き、嬉しそうに口元をゆるめてホットケーキをひっくり返した。

(そっか…嬉しいんだ…。)
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