新婚の定義──嘘つきな君と僕──
「ユウ?」

「ん?」

「ユウは…私のどこが好き?」

「“どこ”が?」

「うん。」

ユウはホットケーキの焼き色を確認しながら考える。

(“どこ”が好き…?)

レナはユウを見上げて返事を待っている。

(“どこ”って言われてもなぁ…。)

「…ユウ?」

「ん?」

「ユウ…私の好きなとこ、ないの?」

レナはシュンとして肩を落としている。

ユウは焼けたホットケーキをお皿に乗せて火を止めると、慌ててレナの頬を両手で挟む。

「違う違う。逆だから。」

「え?」

「レナの全部が好き過ぎて、どこがって言われると悩むんだよ。」

「…そうなの?でも…。」

「でも?」

「聞いてみたいんだもん…。」

レナが照れ臭そうにうつむいて体を揺らしている。

(な、なんだこれ?!めちゃくちゃかわいいんだけど!!)

ユウは思わずレナにキスをした。

「かわいすぎる!!」

「えっ?!」

「そういうところ、めちゃくちゃ好き。」

「…よくわかんない。」

「とにかく全部が好き。さ、食べよ。」

(よくわかんないけど…まぁいいか…。)

ユウはホットケーキの乗ったお皿を運び、レナはコーヒーをカップに注いで運ぶ。

マーガリンを塗ってシロップをかけて、二人で食べたホットケーキは、甘くて優しくて、どこか懐かしい味がした。



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