新婚の定義──嘘つきな君と僕──
ホットケーキを食べ終わり、キッチンで後片付けを済ませた二人は、ソファーで肩を寄せ合ってコーヒーを飲みながらのんびりと過ごす。

「はぁ、落ち着く…。」

ユウはレナの肩を抱いて、長い髪に顔をうずめる。

「ユウって甘えんぼだよね。」

レナがユウの肩に身を預けながら見上げると、ユウはレナの髪を撫でながら、もう片方の手でレナの頬をつまんだ。

「そうかなぁ…。じゃあ、レナももっと甘えていいよ?」

「ユウにだけ特別に?」

「そう。オレにだけな。」

「うん。」

レナはユウを見上げてじっとユウの目を見る。

(あっ、この顔久し振り…。)

ユウはレナの頬に手を添えて、レナの唇をついばむように、優しくキスをした。

レナも目を閉じてユウのキスに応える。

長いキスの後、ユウはレナを包むように抱きしめて、幸せそうに呟いた。

「至福の時だな…。」




翌日からユウは、またツアー先に出掛けた。

レナはカメラマンの仕事をこなし、ユウのいない部屋へ戻る。

一人で夕飯を食べながら、レナはぼんやりと考える。

(私とユウは仲直りできて幸せだけど…ケイトとのことは、どうなってるんだろう?)

ツアー初日にレナが会場にいる間、ケイトはいつもみたいにユウにベッタリくっついて来たりはしなかったし、一緒にいるところも見かけなかった。

(ケイトも今はプロとして仕事に徹してるのかな…。だけどこのまま終わることはなさそうだし…ユウはケイトになんて言うんだろう?)

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