新婚の定義──嘘つきな君と僕──
数日後、レナも密着取材のために新幹線に乗って神戸へ向かった。

翌日が休みなので一緒に観光しようとユウと約束したレナは、今夜のライブの後は駅近くのビジネスホテルに宿泊する事にした。

(神戸って初めて…。楽しみだな。)

レナは駅のコンビニで買ったガイドブックを楽しそうに眺める。

「神戸で観光か?」

相川がガイドブックを覗きながら言う。

「うん。ユウも私も明日は休みだし、せっかくだから観光しようってことになったの。神戸って初めてだから、楽しみなんだ。」

「やっぱり南京町で食べ歩きだろ。」

「相川くん、行ったことあるの?」

「何回か仕事でな。」

「へぇ…。」

嬉しそうにガイドブックを眺めるレナを見て、相川は肩をすくめる。

「いいねぇ。新婚さんは楽しそうで。」

「もう、冷やかさないで。」

昔、タウン誌の取材で一緒に出掛けた時、レナはこんなウキウキした顔はしなかったなと相川は思った。

(やっぱりレナは、旦那とじゃなきゃ、こんな顔はしないか…。)

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