新婚の定義──嘘つきな君と僕──
それから二人は、白浜の絶景を求め、千畳敷や三段壁に足を運んだ。

レナは嬉しそうに景色を眺め、夢中になってカメラを構える。

そんなレナの姿を、ユウはスマホのカメラで写真に収めた。

(ホントにいい顔するな…。)

ユウは、スマホの画面に映るレナを愛しそうに眺めて微笑んだ。

夕方になると、レナが見たいと言っていた円月島の夕景を砂浜から肩を寄せて眺めた。

「キレイだね。」

「うん。でも、こっちはもっとキレイ。」

ユウはスマホのカメラをレナに向ける。

夕陽に照らされた、穏やかなレナの横顔を写真に収めると、ユウは満足そうに笑う。

「あっ…また…。」

不意に写真を撮られたレナは、照れ隠しにユウにカメラを向けてシャッターを切る。

「お返し。」

「やったな…お返しのお返しだ!!」

ユウもレナにスマホのカメラを向けてシャッターを切る。

「ふふ…ユウと写真を撮ると、いつもこうだね。」

「昔からな。」

ユウはレナの肩を抱き寄せて、自分たちにカメラを向けてシャッターを切った。

「二人の写真も、撮っとかないと。」

「うん。新婚旅行、だもんね。」

「そうだけど…もっとゆっくり時間ができたら、もう少し遠くに旅行に行こうか。」

「うん…。でも、これも私には、ちゃんと新婚旅行だよ。ユウと二人で初めての旅行、すごく楽しい。」

「オレも楽しい。レナが喜んでくれるなら、それが一番嬉しいし。」

「優しいね、うちの旦那様は。」

「かわいい奥さんのためだから、特別な。」

二人は顔を見合わせて微笑んだ。

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