新婚の定義──嘘つきな君と僕──
レナが洗い終わる頃、ユウがバスルームの外から声をかけた。

「そろそろいい?」

「うん…。」

レナは髪をまとめて結い上げると、ドアに背を向けて湯船に漬かった。

ユウが頭や体を洗っている間、レナはお湯に漬かって膝を抱えるようにしていた。

洗い終わったユウが湯船に漬かって、レナを後ろから抱きしめる。

「はぁ…癒される…。至福の時だな。」

「ユウ、最近よくそう言うね。」

「うん、レナといると幸せだから。」

「私も、ユウといると幸せ。」

「お風呂の中でも?」

「お風呂はやっぱり恥ずかしい…。」

温かいお湯の中でユウに抱きしめられながら、レナは恥ずかしそうにうつむいている。

「レナ、こっち向いて。」

「やだ…。」

「オレ、レナの顔が見たいんだけど。」

「見えるの、顔だけじゃないもん。」

「そうだけど。オレはレナの全部が好き。だからやっぱり見たい。」

「ユウのエッチ。」

「こんなふうに思うの、レナだけなんだけど。それでもダメ?」

「………。」

ユウの甘い声に耳元で囁かれ、レナは黙っておずおずとユウの方を向いた。
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