新婚の定義──嘘つきな君と僕──
翌朝、ホテルをチェックアウトした二人は、レナの荷物をコインロッカーに預け、手を繋いで神戸の街をのんびりと歩いた。

海に面した公園で散歩をして、タワーにのぼると、展望台から神戸の街を眺めた。

ゆっくりと廻る展望カフェでお茶を飲んで一息付くと、今度は海の上のショッピングモールへ足を運んだ。

「あ、ここにもあるんだ。」

レナが1軒の店先で足を止める。

そこは`アナスタシア´の店舗で、若い女性やカップル、親子連れが、リサのデザインした洋服に目を輝かせていた。

「リサさんの服は神戸でも人気なんだな。」

「うん。嬉しいね。」

「ちょっと入ってみる?」

「え?」

ユウはレナの手を引いて、落ち着いた内装の店内へと足を踏み入れた。

店内のボードには`アナスタシア´の服に身を包んだレナの姿が映し出され、レナは照れ臭くて下を向いて歩く。

「なんか、恥ずかしい…。」

「そう?オレはなんか嬉しいけど。」

ユウがワンピースを手に取り、レナの体に当ててがう。

「よくお似合いですよ、お客様。」

「もう…。」

「でもこの服は見たことない。」

「私も全部着るわけじゃないから。」

「じゃあ、レナの着たことない服もあるんだ。買ってあげようか?」

「え?」

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