新婚の定義──嘘つきな君と僕──
「たまにはいいじゃん。オレもたまにはそういうこと、してみたい。」

ユウはたくさんの服の中から、レナに似合いそうな服を嬉しそうに選ぶ。

「これなんかどう?」

「それはこの間撮影で着たよ。」

「じゃあこれ?」

「それ初めて見る。」

楽しそうに服を選ぶ二人に周囲が気付き始め、チラチラとこちらを窺っている。

「なんか、見られてるけど…。」

「いいじゃん。それよりほら、これは?」

「あっ、かわいいね。」

「じゃあ、このシャツとこのスカートにしようかな。あと、これなんかいいんじゃない。」

「ユウ、コーディネート上手だね。」

「かわいい奥さんのためだからな。」

ユウの選んだ服を手に、レナは試着室に入って着替えると、鏡に映る自分を見た。

(まさか`アナスタシア´で試着するとは思わなかったな…。)

レナが試着室のドアを開けると、ユウがレナを上から下まで眺めて、満足そうに笑う。

「うん、やっぱり似合う。」

「リサの作った服だからね。」

「いつもと少し感じが違って新鮮だし。これ、このまま着て行こうよ。」

「えっ?!」

「いいじゃん。デートっぽい。こういうこと、全然しなかっただろ。」

「そう言われてみれば、そうだね。」

「オレの選んだ服着て、神戸の街をデートしてくれる?」

「喜んで。」

嬉しそうに笑うユウにつられて、レナも笑う。

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